呼吸器外科専門医合同委員会

The Japanese Board of General Thoracic Surgery

呼吸器外科専門医合同委員会委員長ごあいさつ

呼吸器外科専門医合同委員会 委員長 千原 幸司

呼吸器外科手術数は2000 年4万(肺癌1,8万)2012 年7,5万(3,5万)と直線的に増加、諸統計から10~20年はこの傾向が続くと見込まれます。2014 年3月現在、3216人(呼吸器外科専門医は1378人)の学会員が274の基幹施設と379 の関連施設(大学34%、他66%)に所属します。専門医は少ない県で数人、最多は東京都150 人、人口5.5 ~23 万人/専門医(平均12万人、中央値11 万人)、平均手術件数60例/年/専門医となり、科が数人の施設も多く、若い会員は指導医の指導を受けて診療を担うとともに専門医取得の研修が行われています。このような陣容で本邦の肺癌手術関連死亡率は1~0.8% と2%前後の欧米の成績を凌駕しています。

2017 年4月に後期研修を開始する医師(専攻医)を対象とした新たな専門医制度が始まります。時間軸を入れたプログラムとすることと基本領域専門医+サブスペシャリティ-専門医の2階建の構造が要点です。これからの呼吸器外科専門医制度は、「いつかはなる」から「いつ頃なる」を次世代に提供することになります。基本領域である外科専門医研修3年+呼吸器外科専門研修3 年が相互乗り入れとなる合意形成がなされ、初期研修の2年を入れて卒後約8年後に呼吸器外科専門医取得申請が可能となるようにすることが目標となります。以上の基本型以外に、外科専門医を取得後に他領域の診療や研究に従事したのちに呼吸器外科専門医の研修プログラムを受けることも可能とします。

この委員会は最も関係が深く、また母体である日本呼吸器外科学会からの委員と日本胸部外科学会からの委員から構成されます。安元前委員長の呼吸器外科専門医制度の歴史から抜粋した経緯(下記)から今日に至っています。経緯上、このようになってはいますが、関連組織が複数であることは構築する専門医制度の設計に一定の緊張感をもたらし、また、個々の呼吸器外科専門医には循環器系、食道、など呼吸器系と連関している系への理解も深まり、結果として、より少ない合併症、よりよい成績を提供できることにつながります。2011年から始まった厚生労働省主導の専門医のあり方に関する議論でも専門医認定に関わる組織は複数であることはポジティブであり、評価されています。

委員会は、国民が全国あまねく身近なところで標準的な治療を受けることができるように、質の高い呼吸器外科専門医の養成を目指して活動します。国民の期待に応え得る呼吸器外科専門医を知ってもらうために、広報活動、手術成績の公表、呼吸器外科医にかかりたいときにどのようにしたらよいかその手順なども、HPに提案していこうと思っています。

呼吸器外科専門医とは
1978年
日本外科学会認定医制度始まる
1981年
日本胸部外科学会認定医制度(指導医選定含む)始まる
1987年
日本呼吸器外科学会発足
1989年
日本呼吸器外科学会専門医制度始まる
1996年
基本領域の外科専門医制度を一階、呼吸器外科の専門医制度は二階にサブスペシャルティ領域として位置づけ、専門医の認定は各学会を離れて第三者機関が認定する方向が打ち出される
2001年
日本呼吸器外科学会と日本胸部外科学会が母体の呼吸器外科専門医認定機構が発足
2002年
厚生労働省「広告のできる専門医」が告示され、専門医認定は各学会にゆだねられることに方向性転換
2004年
「日本呼吸器外科学会専門医」は「日本呼吸器外科学会指導医」へ移行し、日本呼吸器外科学会と日本胸部外科学会の両学会よりなる「呼吸器外科専門医合同委員会」が広告できる資格である「呼吸器外科専門医」の認定業務を行うこととなった これに合わせて、「呼吸器外科専門医制度規則」、「呼吸器外科専門医制度施行細則」は改訂され、さらに質の高い専門医を担保すべく資格取得条件を引き上げる改訂を重ねて、今日に至っている

2015年3月20日更新