呼吸器外科専門医合同委員会

The Japanese Board of General Thoracic Surgery

呼吸器外科専門医修練カリキュラム

一般目標

国民の福祉に貢献するレベルの高い均質な呼吸器外科診療を実践できる専門医を養成するため,以下の4項目を到達目標として段階的に研修する.研修期間は卒後初期臨床研修ならびに外科専門医研修を含めて7年以上とする.

  • 1.呼吸器外科専門医として適切な臨床判断能力と問題解決能力を習得する.
  • 2.呼吸器外科手術を適切に実施できる能力を習得する.
  • 3.医の倫理,医療安全に基づいた適切な態度と習慣を身に付ける.
  • 4.EBMに基づく生涯学習の方略を習得する.

到達目標1:呼吸器外科専門医として適切な臨床判断能力と問題解決能力を習得する.

  • 1)呼吸器疾患に必要な解剖・生理を理解する.
  • 2)呼吸器疾患の病因,病理病態,疫学に関する知識を習得する
  • 3)呼吸器疾患に必要な診断法を習得し,手術適応の決定ができる.
    • 1.胸部単純X線写真,CT,MRI,右心カテーテル検査、血管造影,FDG-PET等の画像診断ができる.
    • 2.血液ガス分析、肺機能検査,肺シンチグラフィー等の結果を解釈できる.
    • 3.気管支鏡,胸腔鏡,縦隔鏡検査等の内視鏡診断ができる.
    • 4.組織学的診断を理解し,治療方針の決定ができる.
  • 4) 呼吸器外科疾患に必要な検査法についてその選択,実施,評価ができる.
    • 1.気管支鏡,胸腔鏡,縦隔鏡検査が実施でき,検査に伴う合併症に対処できる.
    • 2.リンパ節生検が実施でき,合併症に対処できる.
    • 3.胸腔穿刺,胸腔ドレナージが安全確実に施行できる.
  • 5)適切な周術期管理ができる.
    • 1.気管内挿管,分離肺換気,人工呼吸器による呼吸管理ができる.
    • 2.気管切開が安全確実に施行できる.
    • 3.術前後の呼吸リハビリの実施,指導ができる.
    • 4.術後合併症の予防・早期発見・対処を遅滞なく行うことができる.
    • 5.再開胸の判断ができる.

到達目標2:下記に示す呼吸器外科手術を適切に実施できる能力を習得する.

  • 1)経験手術件数
    • 1.術者として50例以上の手術経験を有する.
    • 2.総ての呼吸器外科手術の助手症例が100例以上.
    • 3.術者の経験50例以上のうち,開胸下手術30例以上,胸腔鏡下手術20例以上とする.
       開胸下手術····主たる手技を用手的に行う手術
       胸腔鏡下手術···主たる手技を長さ8cm以下の創から胸腔鏡下に行う手術
    • 4.術後合併症の予防・早期発見・対処を遅滞なく行うことができる.
    • 5.再開胸の判断ができる.
  • 2)手術の分類
  •   新規申請 術者 最低必要症例数
    ※印は胸腔鏡下手術を含んで良い
    A群1. 肺葉切除又は肺摘除術32例※以上
    (最低25例は縦隔リンパ節郭清を伴うものとする)
    2. 縦隔腫瘍摘出術
    (重症筋無力症に対する胸腺摘除術も含むことができる)
    3例※以上
    3. 自然気胸手術又は肺嚢胞切除術5例※以上
    4. 肺部分切除術・腫瘍核出術5例※以上
    B群1. 気管・気管支形成術を伴う肺切除術B1~B6の中から5例※以上
    但し,B1~B5のものを2項目以上、全体で3例以上含む
    2. 骨性胸郭,横隔膜,心嚢,大血管切除を伴う手術
    3. 胸膜肺摘除術
    4. 肺区域切除術
    5. 膿胸に対する手術
    (開窓術・胸郭成形術を含む)
    6. その他の呼吸器外科手術
  • 3)基幹施設ならびに関連施設における修練期間中(外科専門医のための修練期間を含めても可),3カ月以上の心臓血管外科修練プログラムを有することが望ましい.
    目的:心肺循環,体外循環の理解,血管吻合技術習得等

到達目標3:医の倫理,医療安全に基づいた適切な態度と習慣を身に付ける.

  • 1)指導医とともに協調によるグループ診療を実践することができる.
  • 2)5患者とその関係者に対して適切なインフォ-ムドコンセントを得ることができる.
  • 3)医療安全などに関する研修を受けていること(2回以上)
    この研修は学会,医師会あるいは各施設主催でもよいが,参加を証明する書類が必要である.

到達目標4:EBMに基づく生涯学習の方略を習得する.

  • 1)呼吸器外科関連の学術集会に出席し,研究発表や症例報告を行う.
    • 1.全国規模の学会で5回以上の筆頭発表を行う.
      少なくとも1回は日本呼吸器外科学会総会または日本胸部外科学会定期学術集会で発表するものとする.
    • 2.日本呼吸器外科学会総会または日本胸部外科学会定期学術総会に計5回以上参加する.
    • 3.日本呼吸器外科学会呼吸器外科セミナー,あるいは日本胸部外科学会Postgraduate Course(呼吸器外科向けのプログラムの受講を対象とする)に計2回以上参加する.
    • 4.呼吸器外科胸腔鏡教育セミナーに1回以上参加していること 但し,平成28年8月までに日本呼吸器外科学会の認める全国あるいは地方開催の当該セミナーないし講習会に2回以上参加している場合はこれと同等とする.
  • 2)症例報告や研究論文の執筆能力を養う.
    査読制のある全国誌以上で3編以上(内筆頭論文1編以上)の論文・著書を執筆する.